院長コラム
Vol.50 「久々に合唱の話」
新型コロナのために、「三密」の合唱は壊滅的な打撃を受け、多くの合唱団は練習を中止し、演奏会も次々に中止に追い込まれてきました。その中でも、私は東京大学音楽部コール・アカデミーのOB合唱であるアカデミカ・コールの一員として、月1回ほどの練習を有志で細々と続けてきました。
現役のコール・アカデミーの方はもっと悲惨で、授業もオンラインが多く、大学に行くこともないので、新入団員の勧誘もできず、練習もwebを使って行ったりしていました。聴衆の前での定期演奏会も2019年12月以来開催することができない状態でした。昨年はなんとか4名の新入部員を獲得し、対面での練習も復活し、今年の2月12日にトッパン・ホールで第68回定期演奏会の開催にこぎつけました。しかし、現役は全員で8名なので、演奏会のマネージメントなどもOBが全面的に協力しました。
第1ステージは、OBのアカデミカ・コールによるシューベルト合唱曲集で、私たちが学生1年の定期演奏会で歌った「ゴンドラ乗り」や「水の上の精霊の歌」を歌いました。第2ステージは、賛助出演の東京大学音楽部女声合唱団コーロ・レティツィアとコール・アカデミーの合同で、武満徹の「混声合唱のための うたII」を、歌いました。第3ステージは、コールとOBのアカデミカ・コールによる合同演奏で、多田武彦の「雨」を、令和卒のOB飯田さんの指揮で歌いました。飯田さんの練習は、結構厳しく、しっかり仕上げていったので、良い演奏ができたと思います。第4ステージはコール・アカデミー現役が、北川昇の「あの日たち」を鋤本さんの指揮で、8名で歌いました。この8名のハーモニーは力強く、驚くともに頼もしさを感じさせる演奏でした。演奏会後の打ち上げも、久しぶりで盛り上がりました。現役も卒業する人も大学院に残るので、今年の新入勧誘を頑張れば、絶滅危惧種からは逃れそうなので、なんとか頑張ってもらいたいところです。その後、打ち上げに出てなかった人も含め、10名以上のコロナの感染が分かりましたが、全員軽症だったのは何よりでした。
2月25日に紀尾井ホールで行われた第9回東日本大震災追悼チャリティーコンサートでメモリアル合唱団に参加して、「モーツァルトのレクイエム」を歌いました。このチャリティーコンサートは、東日本大震災で被災し、ピアノが使えなくなった数多くの施設に、再生ピアノ等を寄付するための活動です。今までに21の保育園や小中学校・老人ホームなどに再生ピアノや電子ピアノ、太鼓などの楽器を寄付してきました。私が学生時代に入っていた東京合唱団が中心となり団員を募集して10年以上活動を続けてきましたが、今回で最後になります。東大のコール・アカデミーのOB合唱団アカデミカ・コールのメンバーが多数参加しているので誘われて今回参加しました。「モーツァルトのレクイエム」を歌うのは6回目ですが、前に歌ったのは2006年だったので、17年ぶりということになります。指揮は前田幸康先生で、私が大学時代に歌っていたコール・アカデミーや東京合唱団での常任指揮者の前田幸市郎先生の息子さんです。オーケストラ伴奏での合唱は久々ですが、楽しく歌えました。これを機会に、東京合唱団に再入団して、10月にブラームスの「ドイツレクイエム」を歌うことになり、歌ったことのない曲なので、必死に練習中です。
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