低身長・基礎知識
SGA(small-for-gestational age)性低身長症
SGA(Small for Gestational Age)性低身長症は、妊娠期間に対して体重や身長が標準よりも小さい状態で生まれた子どもに見られる低身長の状態を指します。
具体的には、妊娠週数に対する出生体重や身長が10パーセンタイル未満の場合、SGAと定義されます。
さらに出生体重または身長が-2.0SD未満で、2歳までに-2.0SD以上にならない場合に、SGA性低身長症と診断されます。
主な特徴
- 出生時の低体重・低身長: SGAの子どもは、妊娠期間に比べて体重や身長が小さく生まれます。
- 成長遅延: 出生後、自然に追いつき成長(catch-up growth)が見られることもありますが、約10%の子どもは2歳以降も低身長が続くことがあります。この場合。多くはSGA性低身長症と診断されます。
- 発達の遅れ: 一部の子どもは、身体的な成長だけでなく、運動能力や認知機能の発達においても遅れが見られることがあります。
原因
SGA性低身長症の原因は多岐にわたりますが、主に以下の要因が考えられます。
- 胎児発育不全: 胎内での栄養不足や酸素不足、または母体の健康状態(例えば高血圧、糖尿病)によって、胎児の発育が遅れることがあります。
- 染色体異常や遺伝的要因: 一部のケースでは、染色体異常や遺伝的な要因が関連しています。
- 母体の生活習慣: 喫煙やアルコール摂取、薬物使用など、母体の生活習慣が胎児の発育に影響を与えることがあります。
診断
- 出生時の評価: SGAは出生時の体重や身長が妊娠週数に対して小さいことを基準に診断されます。出生後の成長パターンを観察し、2歳までに追いつき成長が見られない場合、SGA性低身長症と診断されることがあります。
- 成長ホルモン分泌検査: 成長が著しく遅れている場合や、SGA性低身長症として成長ホルモンの分泌を確認する場合、成長ホルモンの分泌を検査することがあります。
治療
SGA性低身長症の治療は、以下の基準に合えば、成長ホルモン治療の適応になります。
年齢3歳以上
身長SDスコア -2.5SD未満
最近の1年間の成長率が0 SD未満
成長ホルモン分泌が正常
他の低身長をきたす疾患の除外
- 成長ホルモン療法: 身長の改善を図るために成長ホルモン療法が行われることがあります。特に3 2歳以降も低身長が続く場合には、成長ホルモン療法の適応が検討されます。この治療は、骨の成長を促進し、最終的な身長の改善を目指します。
- 栄養管理と生活習慣の改善: 栄養不足や生活習慣が成長に影響を与えている場合、適切な栄養管理や生活習慣の改善が推奨されます。
予後
SGA性低身長症の子どもが成長ホルモン療法を受けた場合、身長の改善が期待されます。しかし、治療の開始時期や個々の遺伝的要因、他の健康状態によって予後は異なります。適切な治療とサポートが提供されれば、多くの子どもが通常の身長に近づくことができます。
2024/9/25
低身長は、同性・同年齢(月も)の子の多数のデータから統計的に定義されていて、背の小さい順に100人並べたときに、前から2人ぐらいが「低身長」という定義に当てはまります。