思春期

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一寸法師
思春期早発症

■思春期早発症

 
 思春期早発症は、性ステロイドの分泌により、二次性徴が異常に早く出現した状態である。通常部分性の早期乳房発育症(premature thelarche)や早期恥毛発育症(premature pubarche)などは、思春期早発症からは除く。LHRHジェネレーターの引き金が早期にswitch onされたゴナドトロピン依存性の中枢性と、非依存性の末梢性に分けられる。
正常小児における二次性徴の開始年齢は男子では10歳から13歳、女子では8歳から12歳頃であるので、それより前に二次性徴が見られるときは思春期早発症の可能性が高い。厚生省間脳下垂体障害調査研究班の診断の手引き3)を表1に示した。
 中枢性思春期早発症の成因としては、表2に示すごとく、女児では圧倒的に特発性が多いが、男児では器質性の割合が高い。器質性のなかには、hamartoma、germinoma、hCG産生腫瘍などの腫瘍性のものが多い。
 

■特殊な思春期早発症

 
a. McCune-Albright症候群

 McCune-Albright症候群は、①思春期早発症②cafe-au-lait色素斑③骨の繊維性骨異形成(fibrous dysplasia)の3徴候をもった症候群をいう。必ずしも3徴候を示している必要はなく、また3徴候以外にも、甲状腺機能亢進症、Cushing症候群、下垂体性巨人症、副甲状腺機能亢進症、低リン血性くる病などの多彩な内分泌機能異常の合併が報告されている。早期に思春期早発症を呈することが特徴である。
 ゴナドトロピンの分泌は抑制されているのに性ホルモンの上昇がみられる。その他の、内分泌機能異常も、末梢内分泌器官の自律性の機能亢進を示す。
 近年の分子生物学の進歩により、MaCune-Albright症候群の原因は、細胞内伝達機構として重要なGsα蛋白の活性化変異であることが明らかになった。Germlineの活性化変異は致死的と考えられ、変異はモザイクで存在し、cafe-au-lait色素斑や繊維性骨異形成の部分に変異が認められている。多彩な内分泌機能異常は、内分泌器官の細胞における活性化変異と考えられ、実際に変異も報告されている。

b. Testotoxicosis(male-limited precocious puberty)

 男子だけに発症する思春期早発症で、常染色体優性遺伝形式を示す。ゴナドトロピン値は低いのにテストステロン値が高い、末梢性の思春期早発症である。
 本症の成因は、LH/hCG受容体の活性化変異で、hCG刺激がなくてもcAMPの産生を示すことにより、テストステロンが分泌され思春期早発症を示す。家族発症が知られており3)、本症の男性は妊孕性があり、同じ変異をもつ女性は無症状である。
 

■思春期早発症の診断

 
 基本的に臨床症状から、思春期早発症の診断は容易である。しかし、男子は精巣容量の増大よりも陰毛発育や成長異常などにより見つかることが多く、診断が遅れがちである。女子の場合、乳房発育はまず早期乳房発育症との鑑別を行う。頻度的に一番多い特発性思春期早発症は、種々の負荷試験、画像診断により他のすべてを除外したときに診断されることを留意しておく。
 

■中枢性思春期早発症の治療

 
 本症の問題点として、二次性徴が幼い年齢で出現するために本人や親が社会的に困惑したり、また年齢不相応に異性に対して関心を持ったりして問題を起こしたりなどの、心理社会的問題が挙げられる。さらに、未治療の場合は早期の思春期のスパートによる急激な身長促進がみられるが、骨年齢もそれを上回って促進して早期に骨端線が閉鎖してしまうために、身長発育が止まり、最終的には低身長に終わってしまう。
 本症の内科的治療目的としては、二次性徴を消退させて心理社会的問題の改善をはかるとともに、最終身長を正常化することにある。
germinoma, hCG産生腫瘍のときは、腫瘍に対する治療を優先する。hamartomaの場合には、腫瘍のmassによる障害がない場合には、手術せずに、LHRHアナログによる内科的治療をおこなう。
LHRHアナログは、LHRHの10位のGly-NH2をethylamide 化し6位のGlyを D-Serで置換したbuserelin acetate(スプレキュア)、または D-Leu で置換した leuprolide acetate (リュープリン)で、内因性GnRHに比べ作用が強く半減期が長い。中枢性思春期早発症にたいして、LHRHアナログを投与すると初期の分泌刺激の後は、下垂体ゴナドトロピン細胞のLHRH受容体の"desensitization"によりゴナドトロピンの分泌が低下し,リュープリンでは月に1回投与することによって、ゴナドトロピン分泌を抑え、性ホルモンも抑えることができる。
 

■早期乳房発育症(premature thelarche)

 
 女児で前思春期に乳房のみの発育が一過性に認められる病態である。1歳前後に認められることが多い。通常は他の徴候は認められないが、成長率の増加や骨年齢の進行などが認められる報告もある4)。
原因は明らかでないが、一過性にエストロゲンの分泌がおこるためと考えられる。経過観察だけで得に治療の必要はないが、繰り返す例もあり、このような例は思春期早発症に移行しやすい。
 1歳前後に起こることが多いので、過誤腫やMcCune-Albright症候群との鑑別が必要である。また繰り返す例では、自律性卵巣嚢腫との鑑別が必要である。

思春期

思春期は小児から成人への移行の過渡期にあたる時期で、種々の成熟段階を経て身体全体が成人に成熟します。

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