低身長

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 低身長の治療の方法はあまり多くありません。
 甲状腺機能低下症の場合には、甲状腺ホルモンを投与します。あとは、成長ホルモン療法ですが、現在成長ホルモン治療が認められている低身長の病気は、成長ホルモン分泌不全性低身長症、ターナー症候群、軟骨無形成症・軟骨低形成症、慢性腎不全性低身長症とPrader-Willi症候群です。
 
 成長ホルモン治療は、最初の2~3年はcatch-up(追いつき現象)がみられて、急激な伸びが認められますが、3年をすぎると他の子とほぼ同じ伸びになるので、すぐに大きくなるような夢の治療法では有りません。実際にわが国で成長ホルモン治療を受けて成人身長に達した成長ホルモン分泌不全性低身長症の人の平均身長は、男子160.3cm、女子147.8cmです。これは、成長科学協会に登録された全国の医師によるデータですが、小児内分泌専門医による治療成績はこれを上回っており、私が世話人をしている低身長外来研究会でまとめたデータでは、治療終了後の平均成人身長は男子163.9cm、女子150.9cmでした。
 
 わが国のターナー症候群の成人身長は無治療では141cmですが、現在のところ成長ホルモン治療により、成人身長の平均が149cm前後まで改善しています。その他の3つの病気に関しては、わが国では比較的最近適応になったために、まだ多数例での成人身長の報告は無いようです。軟骨無形成症は、私の経験では最初の1年は伸びますが、その後kの伸びは悪く、成人身長の大きな改善は望めないようです。
 
 しかし、必ずしも成人身長が正常化しなくても最初の1~2年のcatch-upで食欲がでたり、元気になったり、いじめられなくなったりなどの心理社会的問題の改善もみられているので、今後QOLの面での評価も必要だと思われます。
 
 成長科学協会のデータベースの解析による成長ホルモン治療後の成人身長は、男子は160.3cm、女子は147.8cmでした。平均治療期問は5年を越えているにもかかわらず、男の38.1%、女の46.2%が正常身長(-2SD以上)に達していませんでした。これは、わが国の治療量が少ないこと、低身長がひどくなってから治療を開始している例が有ることなどの問題があり、成長ホルモン治療がまだ確立した治療法でないことを示しています。
 
 成人身長と一番相関の強い因子は、思春期開始時の身長です。思春期開始時身長が高ければ成人身長も高くなり、思春期開始時身長が低ければ、成人身長も低くなります。思春期の伸びは、成長ホルモン治療している成長ホルモン分泌不全性低身長症と無治療の体質性低身長児では、殆ど差がありません。従って、成長ホルモン治療も思春期に入るまでに身長を高くしておくことが、成人身長改善のためには重要です。
 
 男子135cm未満、女子132.5cm未満で思春期にはいると、それぞれ160cm、150cm以上の成人身長に達するのは困難です。このような人を、「低身長思春期発来」と呼んでいます。
 
 低身長思春期発来児に対して、思春期を途中で抑制する性腺抑制療法に、蛋白同化ホルモンか成長ホルモンを併用すると思春期の伸びが大きくなり、成人身長を改善することを報告しました。しかし、女子においての成績は、良くありません。多くはホルモン的に異常がないので、性腺抑制併用療法は保険診療による治療の対象にはならず、自費治療になります。