低身長・基礎知識
ブラダー・ウィリ症候群
15番染色体の異常によって起こる遺伝疾患です。
低身長、筋力低下、過食による肥満、知的障害などが見られます。
プラダー・ウィリ症候群(Prader-Willi syndrome, PWS)は、15番染色体の異常により引き起こされる希少な先天性疾患です。この症候群は、15番染色体の父親由来の部分が欠失しているか、母親由来の遺伝情報が両方から受け継がれることによって発生します。
主な特徴
- 筋緊張低下(低筋トーヌス): 新生児期から筋肉の緊張が低く、哺乳力が弱いなどの問題が見られます。
- 食欲異常(過食): 幼児期から思春期にかけて異常な食欲が現れ、過食による肥満が深刻な問題となります。この異常な食欲は脳の視床下部の機能不全に起因しています。
- 知的障害と発達遅延: 軽度から中等度の知的障害や発達遅延が一般的です。学習障害や行動問題も見られることがあります。
- 低身長: 成長ホルモンの不足により、身長が通常よりも低くなる傾向があります。
- 性腺機能低下: 思春期の遅れや性腺機能不全が見られ、不妊となる場合が多いです。
原因
プラダー・ウィリ症候群は、15番染色体の父親由来部分の欠失、母親由来の遺伝子の二重コピー(母性単一倍体)、または遺伝子の機能不全により発生します。これらの遺伝子異常により、脳の視床下部が正常に機能せず、食欲や代謝、成長、性発達などの制御が困難になります。
診断と治療
- 診断: DNAメチル化分析などの遺伝子検査で診断されます。特徴的な症状が見られる場合、出生後に早期診断が行われることがあります。
- 治療:
- 食事管理: 過食を防ぎ、適切な体重管理を行うための厳格な食事制限と行動療法が必要です。
- 成長ホルモン療法: 低身長や筋力の改善を目的に、成長ホルモン療法が行われます。
- ホルモン補充療法: 性腺機能不全に対するホルモン療法が適用されることがあります。
- 行動療法と特別支援教育: 知的障害や行動問題に対する支援が重要です。
合併症と予後
プラダー・ウィリ症候群の主な合併症は肥満に関連した糖尿病や心血管疾患などです。
適切な管理と治療を行うことで、これらのリスクを軽減し、生活の質を向上させることができます。
この疾患は生涯にわたる管理が必要ですが、家族や医療チームの支援によって、患者の生活の質を改善することが可能です。
2024/9/25
低身長は、同性・同年齢(月も)の子の多数のデータから統計的に定義されていて、背の小さい順に100人並べたときに、前から2人ぐらいが「低身長」という定義に当てはまります。