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2012/10/22

Vol.23  「ドイツ芸術の旅」

 

 ベルリンで開かれるファイザー社のGlobal Studies Meetingで、座長を務めることとなったため、8 日に成田空港を発った。妻も一緒で、久しぶりにANAのビジネスクラスだったが、内装が新しい機体で、完全にフラットに寝れる座席や前から引き出すテーブル、ウォシュレット付きのトイレなど、非常に快適にすごすことができた。映画も盛りだくさんで「Rock of ages」「Safe」「Amazing Spiderman」と三本も見てしまった。
 
 フランクフルトに二泊してからベルリン入りの予定で、フランクフルトのInter Continental Hotel に8日の夕方5時ごろついた。フランクフルトに着くと15℃で、さすが寒く感じた。一寝入りしてから街にでて、駅からオペラハウス まで歩いた。夕食は、飛行機内で充分食べたので、二人ともあまりお腹が空いておらず、丁度見つけたKamonという日本料理屋で天ぷらうどんを食べて済ませた。その日は、ホテルに帰ってバタン・グーだったが、時差の影響で1-2時間ごとに目が覚め、その度にメラトニンを飲んだ。
 
 9日はまず、ホテルの横を流れているマイン川を渡ったところにあるシュテーデル美術館へ開館時間の10時に行った。お目当ては、フェルメールの「地理学者」(写真1)。館員に場所を聞こうと声を掛けると、向こうから「フェルメール?」と聞いてきて、場所を教えてくれた。そこには、既に何人かの日本人がいた。その他ボッチチェリ、ラファエロ、レンブラント、ルーベンス、ドラクロア、モネ、や私の好きなルノアール、セガンティーニなどの作品の他に、ムンクやゴヤ、モローの絵が多数あるのに驚いた。2時間半ぐらい歩き回って、充分堪能した。
 
 
  

 
 美術館のカフェでサンドイッチを食べてから中心街まで歩いて行って、サッカーグッズの店を訪れた。ここフランクフルトは、乾が活躍しており、「INUI」の名前と背番号8をプリントしてもらったユニフォームを、息子のお土産に買った。その後ゲーテハウス、ゲーテ広場と歩き回って、屋内市場までいった。果物やソーセージなどがたくさん並んでおり、ハローウィンが近いためか、巨大なカボチャもあった(写真2)。屋内市場内のカフェバーで、黒 ビールとフランクフルトソーセージを頼んだら、大きなソーセージが出てきて、それだけでお腹いっぱいになってしまった(写真3)。夕食は、とても重いものは食べる気にならず、屋内市場内で日本人が経営していた店で、寿司のパックを買って、大聖堂を見てホテルにタクシーで帰った。ホテルのテレビでNHKを放送しているのに気がつき、「三毛猫ホームズ」などを見て、お寿司を食べて寝た。2日目になると、時々目は覚めるが、1日目よりもぐっすり眠れた。
 
 

 
 10日は、フランクフルトからベルリンへの移動だけなので、マイン川沿いを散歩したりしてのんびりしてから、ベルリンへ飛んだ。ホテルは会議場に隣接しているEstrel Berlinで、市街地より離れた場所で、不便なところだった。
 
 

 
 11日は、午前中絵画館(写真4)まで行って、また絵を鑑賞した。フェルメールの「真珠の首飾りの女」は日本に行っていたが、「ワイングラス」を見ることができた。13~15世紀の宗教画が多く、ラファエロの「聖母子」がならんでいたり、ボッカチオの「歌う天使たちを伴う聖母子」などを見ることができた。その他レンブラントの絵も多数あり、フリューゲルの「ネーデルランドのことわざ」も楽しめた。
 
 午後はシンポジウムのリハーサルのあと、夕方日本で予約してチケットを手にいれていたオペラへいった。数年前藤枝先生と行った国立歌劇場は改装中で、シラー劇場で開かれていた。上演されていたのは有名な「椿姫」。今回の演出は、ヨーロッパで流行っている現代風で、舞台は最初から最後まで後ろの厚いカーテンと前の薄いカーテンだけで、ヴィオレッタは、マリリンモンローのような真っ白のドレスを着て最初から最後まで舞台に登場しており、その他の人はアルフレッドも含めて皆黒ずくめの格好をしていた。舞台衣装や演技は楽しめなかったが、その代わり注意は声に集中することになる。ヴィオレッタ役のSonya Yoncheva、アルフレッド役のFransco Demuro、アルフレッドの父役のAlfredo Dazaの歌唱力は圧倒的で、また合唱団の迫力にも圧倒された。前から6列目だったためか、歌声がガンガン頭に響いた。今まで観たのと全く違う椿姫で、これはこれでまた楽しめた。
 
 12日から会議が始まり、私はKIGS/KIMS Session I Transitionの座長を務めた。このsessionは重症成長ホルモン分泌不全性低身長症から成人成長ホルモン分泌不全症への移行の問題点が検討され、小児から成人に連続的な治療継続が良いと参加者の多くが思っているが、演者のDevid Dunger からも具体的な提案はなかった。午後に「成長ホルモン治療の安全性」のsessionがあり、Patric WiltonがKIGSのデータから、白血病も、腫瘍も、発症のリスクが高いわけではないことを示した。またRon Rosenfeltが、フランスから発表された成長ホルモン治療を受けて成人になった人の死亡率が高い(1.3倍)というデータは発症例数が少なく、充分検討されていないと批判し、その後発表されたベルギーとデンマークのデータでは死亡率に差がないことを示した。多数の賛同を得ていたが、今後長期的にフォローする事は必要であると結論づけていた。しかし日本ではとても出来ないフォローアップなので、後でRonにアメリカではフォローするシステムがあるのか聞いたが、アメリカでも無理との事だった。スウェーデンやデンマークなど国民総登録システムがひかれている国でしか出来ない検討だと思われる。
 
 この間、妻は菊池さんというドイツに35年住んでいるちというガイドさんにタクシーをチャーターしてもらい、ポツダムまで行って会談した建物やサンスーシ宮殿を観光していた。妻がガイドさんに聞いた話。

 ・ドイツ人も勤勉でなくなった。子ども手当が多いので、3人ぐらい子どもがいると、働かなくても過ごせる。
 ・トルコ人の移民が多く、安く働くので、ドイツ人の職場が圧迫されている。
 ・ゆとり教育で休みが多くなったので、子どもの学力低下が甚だしい。
 ・軍隊がないので、もし攻め込まれたらお手上げ。
 
 


 夜は、昔藤枝先生と行った「大都会」という鉄板焼きの日本料理店で食事して、ベルリンフィルハーモニーを聴きにいった。会場は独特の外観をしており(写真5)、内部もサントリーホールがまねたという舞台の後ろにも客席があるという独特のスタイルで、音響効果は抜群に良かった。演奏曲目はビバルディ特集で、バイオリン協奏曲、フルート協奏曲、オーボエと二本のリコーダーのための協奏曲などを、指揮者がチェンバロを弾きながら指揮をするというスタイルで演奏した。さすが緻密な綺麗な音色で、弦も管も素晴らしかった。最後の演奏は「Gloria」で、コーラスとソプラノとアルトのソリストも楽しめた。特にアルトの声は、日本人では聞いたことがない太い豊かな響きであった。
 
 13日の午前中で会議は終わり、ベルリンからミュンヘン経由で帰国の途についた。
今回は、ドイツの絵画と音楽を満喫した旅であった。
 
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