院長コラム
Vol.33 「私の合唱歴」
歌うのが好きだった母親の影響か、私も小さい頃から歌うのは好きだった。小学校の時も、ボーイソプラノで合唱コンクールに出ていた記憶がある。
高校は男子校の教育大学附属駒場高校(現 筑波大学附属駒場高校)だったため、当然男声合唱の合唱部に入った。しかし、全生徒数が少ない(1学年160人)ため部員も少なく、学校の文化祭では8人のダブル・クァルテットで歌っていた。パートは今と変わらずトップ・テノール。学校としては合唱は盛んで、中学から高校まで全クラス対抗での合唱祭があり、高校3年の時この合唱祭で優勝し、このときのクラスの指揮者であった川越氏とは、大学、大学OB合唱団とずっと一緒に歌い続けている。
東京大学に入ったとき、高校の合唱部の2年先輩から誘われて、何の抵抗もなく男声合唱団コール・アカデミーに入った。その頃は合唱も盛んで、団員は100名近くいて、昼休みの練習、週2回の授業後の練習、春合宿、夏合宿と、忙しかった。その時のコール・アカデミーの常任指揮者が前田幸市郎先生で、その先生の指導で初めてミサを歌って、本当の意味での合唱のすばらしさを教えていただき、演奏会で歌い終わったあとに感動で目の前がぼやけるという経験もした。4年生の時(1970年)に、ドイツへ演奏旅行に行ったのが、初めての海外旅行であった。また、大学時代に日フィル・クリスマスコンサートでベートーベンの「第九」を歌ったが、その時の指揮者が小澤征爾さんで、まだ若かったがオーラがでている厳しい練習だったのを覚えている。「第九」は、それ以来いままで18回歌った。
大学は医学部のストライキなどもあり、7年間在籍し、コール・アカデミーだけでなく、前田幸市郎先生が指導していらした混声合唱団の東京合唱団にも在籍し、「ヨハネ受難曲」などの大曲を歌った。また、大学2年の時に、コール・アカデミーの有志と清泉女子大学女性合唱団コロ・オルキデアの有志で「ナザレ室内合唱団」を結成し、主に中世・ルネッサンス時代の曲を中心に、月1回の練習を続けた。この合唱団は、いまも活動中で一昨年結成45周年の演奏会を開いた。
医学部を卒業してからは、神奈川こども医療センター、カナダ マニトバ大学への留学なので、しばらく合唱から離れていたが、1980年に虎の門病院に勤め始めだしてから一時的に東京合唱団へ復帰し、また大学のOB男声合唱団「アカデミカ・コール」も恒常的に練習を始めるようになった。平成2年には、大学の先輩から誘われて混声合唱団「樹林」に入り、一時は「ナザレ室内合唱団」「マタイを歌う会」「アカデミカ・コール」「樹林」と4つの合唱団に所属していた。「樹林」では代表を務めたこともあったが、現在は「ナザレ室内合唱団」「アカデミカ・コール」の2つだけで歌っている。
「アカデミカ・コール」は現在約60人が活動しており、私はトップ・テノールのパート・リーターと、幹事長の高校の同級生川越氏を補佐する副幹事長の任を担っている。常任指揮者は新国立劇場合唱団常任指揮者の三沢洋史先生で、そのレベルの高い指導により非常に充実した練習・ステージを経験させていただいている。そのほかに、テネー系、ベース系それぞれプロの声楽家による個人ヴォイストレーニングが受けられ、私もハイツェーといわれる高音まで声が出せるようにになった。毎年2回ぐらいの演奏を行っており、現役の東京大学コール・カデミーのOBステージ、隔年の東京六大学OB合唱連盟演奏会などの他に、2000年に三沢先生の指揮によるオーケストラ伴奏による「ケルビーニのレクイエム」、2011年東北大学OB男声合唱団、九州大学OB男声合唱との「今こそ歌を!東北大震災復興支援三大学ジョイント・コンサート」、2013年ニューヨークのカーネギーホールでのオーケストラ伴奏による「ケルビーニのレクイエム」演奏などを行った。8月26日には、めぐろパーシモンホールで演奏会を行い、来年5月には、パリでグノーの「第二ミサ」を歌う予定である。
合唱だけでなく、「フォー・グローイングス」という男声クァルテットを作って、クリニックの納涼会・忘年会で歌っている。歌うことは私にとっては、ストレス発散、健康増進だけでなく、自分を解放してくれる心のオアシスのような存在で、これからも生きている限り歌い続けます。
玉医ニュース No.602に掲載されたものです。
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