院長コラム
Vol.17 「今こそ歌を!」
6月18日(土)品川区立総合区民会館 きゅりあん大ホールで開かれた「今こそ歌を!東日本大震災復興支援三大学ジョイントコンサート」に出演しました。三大学OB合唱団で昨年来、企画を進めていましたが、3月11日に未曾有の大災害が発生し、しかも被災地の中心である東北大学がメンバーで会ったことで、その開催が危ぶまれていました。しかしその東北大学からの、歌をとおして励ましたいという強い思いを受け、被災された多くの方々への鎮魂と、復興をめざす人々への二つの意味を込めた「今こそ歌を!東日本大震災復興支援三大学ジョイントコンサート」としての開催にこぎ着けました。
第一ステージは、東北大学男声OB合唱団によるシベリウス男声合唱曲集で、フィンランドの人々の日々の暮らし、ソ連の圧政による苦難の時代、そして復興にむけた力強い歌を、東北の復興と重ね合わせて歌い上げました。
第二ステージは、九州大学コールアカデミーOB合唱団TAG。コールアカデミーという同じ名前ですが、東大は1947年、九大は1950年に名前を付けています。TAGというのは「T;たまに」「A;集まる」「G;合唱団」の略で、ドイツ語の「TAG;一日」にも繋がり、“良き一日を共に歌わん”という気持ちが込められているそうです。九州大学OBは、三大学の中でも一番平均年齢が若く、当時まだ東京芸大の学生だった木下牧子さんが大岡信さんの詩に作曲した合唱組曲「方舟」をピアノ伴奏で歌いました。
第三ステージは、東京大学音楽部OB合唱団アカデミカコールが、前田幸康先生の指揮、大橋正教さん(S40年入学)編曲の弦楽伴奏で、シューベルトの男声合唱曲集から、「ゴンドラ漕ぎ」と「水の上の精霊たちの歌」を唱いました。二曲ともS41年入学組の私は、大学一年の時に前田幸一郎大酋長の指揮で歌いましたが、「水の上の精霊たちの歌」はその時歌ったアカペラの曲と違う曲でした。シューベルトは、ゲーテのこの詩が好きで、何度も曲をつけたそうで、両曲とも暗譜で歌えると出かけた最初の練習では、大いにとまどいました。総勢約60名中トップが8名と少なく、丁度5線の上あたりを柔らかい声できれいに出すことを求められるというシューベルト特有の曲の上、「水の上の精霊たちの歌」は途中でトップが2つに分かれるとあって、トップには大変辛い曲です。さらにそのうえ、本番にトップ2名が急に出演できなくなり、パートリーダーの私は、かなりのエネルギーで頑張りました。評判は、弦楽がきれいだったし、メールの内容でもあまり悪くなかったようでしたが、辛口の妻には、「バランスが悪かった」と切って捨てられました。
第四ステージは、合同演奏の「ともに歌わん!」。九州大学の宮崎さんが進行役になり、最初に東北大学の学生歌「青葉もゆるこのみちのく」、九州大学コールアカデミーのエールとして歌い継がれている万葉集の和歌を素材にした「筑紫之咏」、東京大学の歌「大空と」を歌いました。そのあとに「見上げてごらん夜の星を」「梅雨の晴れ間」を九州大学の宮崎さんが、「野ばら」と「U Boi!」(ピアノ伴奏:三木蓉子さん)を東大川越和雄さんが指揮し、最後に東北大学嵯峨さんの指揮で「斎太郎節」を復興の応援歌として高らかに歌い上げました。総145名の大合唱に拍手鳴りやまず、アンコールでは被災地から生まれた希望の歌「あすという日が」を、東北大学の嵯峨さんの指揮、三木蓉子さんのピアノで、「明日という日がある限り、幸せを信じて・・・・」と、被災者の人々にエールを送りました。最後に川越和雄さんの指揮で、「遙かな友に」を会場の皆さんと大声で歌って、幕となりました。
なお、今回のジョイントコンサートの入場料収益に参加者の支援金を加えたものが、宮城県、岩手県、福島県および日本合唱連盟東北支部に寄付されます。
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