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2017/1/6

Vol.36  「年末年始ウィーン音楽三昧」
-念願のウィーンフィル ニューイヤーコンサート-

 
私達は、元旦のNHKテレビのウィーンフィル ニューイヤーコンサートを毎年聴いていました。妻は「ニューイヤーコンサートを聴きに行けたら、いつ死んでも良い」と言っていましたが、ついに聴きに行くことになりました。JTBのツアーですが申し込みは3人で、1人キャンセルしたため、私たち夫婦だけになりました。30日にベートーベンの「第九」も組まれており、31日にも「こうもり」のチケットも頼んで購入できたので、3日間の豪華な音楽の旅となりました。

28日いっぱいまでクリニックで働き、29日に羽田空港でツアーコンダクターの山本さんと落ち合いました。山本さんは、海外の演奏会ツアーの企画をしているため、この約20年間は、ほとんどウィーンでお正月を迎えているそうです。15:20発のルフトハンザでまずフランクフルトへ向かい、飛行機の中では、いつものように映画三昧。「ゴースト バスターズ」「団地」「Suicide Squad」の3本を楽しみました。

フランクフルト経由でウィーンに着いたのは、午後11時、気温マイナス2度。すぐにホテル ザッハーにチェックイン。ホテルにはまだクリスマスツリーが飾られていました(写真1)。由緒ある超高級ホテルで、窓を開けると国立歌劇場がすぐ目の前にあり、ライトアップされていて素晴らしい景色でした。
 
30日はゆっくり起きて、1階のレストランで朝食を食べていたら、「田中さん」と声をかけられました。顔をあげたら、アカデミカ・コールの大先輩の永野さんでした。やはり奥様と小児科医のお友達とニューイヤーコンサートを聴きに来たとのこと。お友達の「今回で3回目です。」と言う言葉は、私達に少なからずショックを与え、「1回聴きにきたぐらいで死んではいられないな」と思いました。
 
10時からは、ウィーンに35年住んでいるという現地ガイドの武田さんに、美術史博物館を案内してもらいました。写真2は、正面の階段の踊り場で撮ったものですが、周りの人たちは笑っていました。私達は前にも来たことがありますが、武田さんの独特の解釈を聞きながらの鑑賞は面白く、2時間があっという間に過ぎてしまいました。ブリューゲル、ベラスケス、レンブラント、ラファエロ、私達の好きなフェルメール(写真3)などの有名な絵を堪能しました。

写真1.
ホテル ザッハーのクリスマスツリー
写真2.
美術史博物館の正面の階段踊り場にて
写真3.
美術史博物館にあるフェルメールの「絵画芸術」

昼食は山本さんに連れられて、ウィーンの伝統料理ターフェルシュピッツ(牛肉を野菜と煮込んだ料理)を専門店のプラフッタで食べました。肉は柔らかく、何よりも煮込んだスープが美味しくて、何杯も味わいました(写真4)。食べ終わって外からレストランをよく見たら、10年ほど前にも来たことがあった店でした。

旧市街を歩いてホテルまで戻りましたが、途中山本さんがモーツァルトの遺体が一時安置されたシュテファン寺院のクルツィフィクス礼拝堂を案内してくれました。そのなかには「この場所で不滅のWA モーツァルトの遺体が1791年12月6日に聖別された」と書かれた銘板がありました(写真5)。またウィーンで14回も引越をしたモーツァルトの記念プレートがあちこちにあるのも、案内してくれました。ホテルに戻ったら、お腹がいっぱいなのと時差で、直ぐに昼寝タイム。

夜は毎年ウィーン交響楽団恒例の12月30日、31日、1月1日と行われているベートーベンの「第九」を聴きにコンツェルトハウスへ行きました。若い指揮者のウルバンスキーの指揮はエネルギッシュでしたが、最初はオケとテンポがあいませんでした。しかし直ぐに調子を取り戻し、合唱に入るとこぎみ良い速いテンポで指揮をしていきました。私も「第九」は何回も歌っていますが、「ダイネ ツァーベル」のところを「ダイネ ツァーバー」と歌っているのに気づきました。最後のPrestissimoからのテンポも結構はやく、特に最後の合唱の「Freude, shöner Götterfunken,」以降は、倍のテンポで振っていたのは、初めて聴きました。新鮮に楽しめた「第九」でした(写真6)。しかしホテルに帰って、携帯電話をコンツェルトハウスで落としてきたのに気づきました。

写真4.
ウィーンの伝統料理ターフェルシュピッツ
写真5.
シュテファン寺院のクルツィフィクス礼拝堂のモ-ツァルトの銘板
写真6.
ウィーン交響楽団のコンツェルトホールでの「第九」の演奏会

31日の朝に山本さんが、コンツェルトハウスに行ってくれましたが、携帯はみつかりませんでした。

今朝は萩原さんのガイドで、まずウィーンの森のカーレンベルグの丘にいって、ハイリゲンシュタットのブドウ畑、アルプスの山並み、ドナウ川、ウィーン市街を一望しました(写真7)。市街は少し霧がかかっていましたが、雲一つない青空で、マイナス2度の気温でしたが、非常に清々しい眺めでした。その後墓地好きの妻の希望で、グスタフ・マーラー(写真8)と夫人のアルマ・マーラー墓地を見に行きました。マーラーは、作曲家としても有名ですが、オペラ座の音楽監督をしていた時に、休憩時間を取り入れ、場内を暗くして、聴衆に音楽に集中するようにしたことでも知られています。アルマは作曲家としても優秀でしたが、男性社会で認められず、マーラーとも上手くいかなかったと、萩原さんの解説。またマーラー自身も、フロイトに精神分析を受けていたそうです。

ハイリゲンシュタットには、ベートーベンが1802年に弟に宛てた遺書を書いた家が、既に耳が聞こえないことを嘆いた内容の遺書やデスマスクが公開されていました。実際には、ベートーベンはその後25年生き、1827年死ぬ前に書いた財産を甥に譲るという遺言書もありました。近くにはベートーベンが散策したベートーベンの散歩道もありました。

続いて分離派会館へ行き、1902年にクリムトによって描かれた壁画「ベートーベン・ フリーズ」を見ました。ベートーベンの「第九」をもとに作られており、3方の壁に「幸福への憧れ」「敵対する勢力」「歓喜の歌」(写真9)が描かれています。「歓喜の歌」の空白は、萩原さんの解釈では、「Freude, shöner Götterfunken,」の大合唱の前の、「タターン タターン タターン」の部分を意味するのだと、楽譜を前に説明してくれました。
昼食はImperial HotelのCaféで、Wiener Schnitzel(ウィーン風カツレツ)のkline(小)を頼みましたが、十分満腹になりました。女性軍は更にスイートを食べていました。

写真7.
カーレンベルグの丘からの眺望
写真8.
グスタフ・マーラーの墓
写真9.
分離派会館のクリムトのベートーベン・フリーズ

食後は、ホテルザッハーの近くのアルベルティーナで開かれていた 、ゴッホと点描画展に行きました。モネの「睡蓮」やゴッホの「種まく人」などがありましたが、点描画が多数展示されており、スラー、シニャック(写真10)らの点描画の巨匠の作品と共に、レイセルベルへの作品が印象に残りました。
 
夜は、ホテルの隣の国立歌劇場での大晦日定番のヨハンシュトラウスの喜歌劇「こうもり」(写真11)。国立歌劇場の大晦日の公演は毎年サプライズゲストが出演し(そのため大晦日は料金が高い)、今年はテナーのファン・ディエゴ・フローレスだという話を山本さんから聞いていました。いつ出るのだろうと思っていたら、第2幕の途中で皆が会食になる時にいきなり出てきて、オペラ「連隊の娘」のhigh C連発のアリア「魂にかけてこの喜び」を歌い、拍手喝采を浴びました。その後もアンコールに応えて自分でギターを弾きながらスコットランド民謡のAuld Land Syne(日本では「蛍の光」として歌われているが、年始の歌として歌われている)を歌い"Happy new year!"という歌詞をつけていました。更にラテンの曲で会場の聴衆と一緒に"I wish a happy new year!"と歌って、会場を盛り上げました。
 
喜歌劇「こうもり」大体の筋は知っていますが、もともと台詞が多いので、目の前の小さなスクリーンの英語訳を一生懸命追いかけますが、早くて追いかけきれません。特に第3幕の看守の台詞はアドリブが多いため、会場では大受けしている意味が分からず、少し残念でした。それでも十分楽しめた舞台でした。
 
「こうもり」が終わった10時半過ぎにホテルザッハーに戻りGala dinner。普通のフルコースですが、風船や三角帽子が用意されていて、楽団演奏がカウントダウンをして、0時に食事をしていた人たち全員でシャンパンで乾杯して、皆で"Happy new year!!"を交わし合いました(写真12)。その後もダンスが続き、私たちも踊って楽しみました。山本さんには、これほど楽しむ日本人はあまりいないと驚かれましたが。

写真10.
シニャックの点描画
写真11.
喜歌劇「こうもり」の当日ポスター。サプライズ・ゲスト フローレスの名前もある。
写真12.
Gala dinnerでのニューイヤーの乾杯。右端が、ツアーガイドの山本さん。

元日は、いよいよ楽友協会でのニューイヤーコンサート。妻は、この日のために平安絵巻の和服の生地で作ったドレスと金色の帯生地で作った上着を着て、私もハイカラーのワイシャツにアスコットタイとベストという出で立ちで出かけました(写真13)(残念ながら席が前の方でなかったので、テレビには顔が少ししか映っていませんでしたが)。会場では、さすが華やかな礼装の人が多く、和服姿の日本人女性も多数見かけました。今年の指揮者は、ベネズエラ出身の弱冠35歳のグスターボ・ドゥダメル。小柄ですが、その柔らかくはつらつとした指揮は、ウィーンフィルの魅力を十分に引き出しました。テンポの速いポルカやワルツを、ウィーンフィルの楽団員は生き生きと楽しそうに演奏し、またその音はこのホールに素晴らしく良く響き、1曲毎に大きな拍手が送られました。アンコールは3曲演奏し、恒例のラデツキー行進曲では、ドゥダメルは、聴衆に拍手のクレッシェンド、デクレッシェンドを指示しながらの指揮で、私達も一緒に演奏をしている気分でした。最後は聴衆全員のスタンディングオベーションで、私も「ブラボー!」と叫んでいました(写真14)。ちなみに昨夜サプライズゲストで「こうもり」に登場したフローレスも、舞台上の観客席で聴いていました。また終演後に、来年の指揮者がムーティと発表されていました。

写真13.
ニューイヤーコンサートでの正装姿。
写真14.
楽友協会でのニューイヤーコンサートでのスタンディングオベーション

昼食は、近くのグランドホテルの日本料理「雲海」で、おせち料理、お雑煮をいただきましたが(写真15)、そこでも永野さん達と一緒になりました。

写真15.
日本料理店「雲海」でのおせち料理
写真16.
白みそ仕立てのお雑煮

2日はもう帰国するのみなので、ゆっくり朝食を食べ、マイナス4度の中、シュテファン寺院まで散歩して、ウィーンの名残を楽しみました。ホテルを出る直前になって山本さんが来て「ダメ元で今朝もコンツェルトハウスに行ったら、携帯ありました!」。あれから山本さんは、毎日コンツェルトハウスへ行って確認してくれていて、昨夜の演奏会の後に届け出があったとの事。山本さんに、大感謝!! 以前イタリアで、ホテルの部屋に携帯の充電器を忘れて、次の日連絡しても出てきませんでしたが、オーストリアは違いますね。

帰りはミュンヘン経由。ミュンヘンが大雪で、出発が2時間近く遅れましが無事に離陸。映画はメリル・ストリープ主演の「マダム フローレンス」、トム・クルーズ主演の「ジャック・リーチャー」、それに「君の名は」と、話題の映画を楽しみました。

ウィーンフィルのニューイヤーコンサートは、やはりテレビで聴いているのと音や雰囲気が異なり、おなかの底に音が鳴り響く感じで心身ともに幸せに満ち、1回と言わず何回も聴きに来てみたいなと思いました。その時はまた、山本さんの「音楽の旅ライブ」に参加して。

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