学術活動

No.38 「当院におけるSGA性低身長症の成長ホルモン治療効果が、日本成長学会誌に掲載されました。」
2025/8/15
前思春期SGA性低身長症におけるGH早期増量による5年間の治療効果
田中敏章、曽根田 瞬、佐藤直子、岸 健太郎、野田雅裕、小笠原敦子
日本成長学会雑誌 27:59-65,2021
要旨
SGA性低身長症において、たなか成長クリニックの増量基準に従ってGH治療を行った前思春期の5年間の治療効果を検討した。
2010年から2016年にSGA性低身長症の診断をうけ、8歳未満でGH治療を開始した33名(男子20名、女子13名)において、1年目9 cm/年以上、2年目7.5 cm/年以上、3年目以降6 cm/年以上の成長速度を目標とする治療方針で治療した。
GH治療開始前5.5 cm/年であった平均成長速度は1年目 9.6 cm/年、2年目7.8 cm/年と有意に上昇し、5年後も平均6 cm/年を上回っていた。治療前-2.92SDだった平均身長SDSは、1年目で-1.97SD、2年目で-1.51 SD、4年目で-1.11 SDとなり、5年目で-0.98SDと-1 SDを超えた。GH治療開始後3か月以内に13名(39%)が1回目の増量を行っており、6か月以内では24名(73%)が増量し、1年以内には全例増量していた。しかしGHの平均治療量は、5年間の間0.25~0.30 mg/kg/週の間にとどまった。
若い年齢からGH治療を開始したSGA性低身長症において、当クリニックの治療方針に従って早期より頻回に増量することにより、GH治療量が比較的高用量にならなくても、良好な成長速度、身長SDSの改善を得ることができた。