学術活動
No.21 「抄録 SGAGHTX 2015 」
Onset of puberty and near adult height in short children born small for gestational age and treatment with GH: Interim analysis of up to 10 years of treatment in Japan
Toshiaki Tanaka, Susumu Yokoya, Yoshiki Seino, Tada Hiroshi, Jun Mishina, Takahiro Sato, Shintaro Hiro, Nobuhiko Ohki
Clinical Pediatric Endocrinology 24:15-25,2015
GH治療によるSGA性低身長症児の思春期発来と成人身長:日本における10年のGH治療の中間解析
田中敏章、横谷 進、清野佳紀、多田 裕、三科 潤、佐藤貴弘、比呂新太郎、大木伸彦
【目的】
日本におけるSGA性低身長症児に対するGenotropinRの臨床試験より「思春期発来」および「成人身長」に関する知見をまとめたので報告する。
【方法】
対象は2用量(0.033mg/kg/日,0.067mg/kg/日)のいずれかに無作為に割り付けられ1年間の治療を受けた後,2年目以降は全例0.067mg/kg/日で治療された。
国内ガイドラインのSGA治療開始基準に合致する例は44例であり,2012年6月時点のデータにて解析を行った。
成人身長到達は「年間成長速度が思春期による最大成長時をすぎて2cm/年未満」または「骨年齢が男子16.1 歳,女子14.7 歳に到達(TW2-RUS法)」の2つを指標とした。
思春期発来時期は精巣容量4mLまたは乳房TannerⅡ度となった時点とした。
【結果】
成人身長到達例は10例(男6例,女4例)で平均成人身長は男157.4 cm,女144.7 cm、治療開始時からの身長SDスコアの改善は男1.6 SD,女1.8 SDであった。思春期発来より成人身長までの伸びは男23.8 cm,女20.9 cmであった。
GH治療期間中に思春期が発来した症例は31例(男16例,女15例)で、思春期発来時の年齢(中央値)は男11歳5カ月,女10歳4カ月,平均身長は男135.4 cm,女124.4cmであった。
【考察】
SGA性低身長症のGH治療は、成人身長の正常化が目的の1つであり、そのためには思春期発来時の身長を高くすることが必要である。今回の報告では,思春期発来年齢の中央値は健常小児と変わらなかったものの,男16例,女15例中,それぞれ5例と12例が低身長思春期発来で、まだ不十分な結果であった。身長SDスコアは1.5 SD 以上改善しているので、治療開始時の低身長の程度が軽い例では、成人身長の改善が期待できる。