学術活動

top-p7.png top-p4.png top-p6.png top-p5.png top-p2_20220422201251121.png

HOME | 学術活動 | 学術活動12

小槌
学術活動

Nol.12  低身長児の自然発育「成人身長の改善を規定する因子の検討」
「成長ホルモン分泌不全性低身長症における成長ホルモンによる前思春期の治療開始年齢別治療効果」


2010/6/12
 

6歳時低身長児は、自然発育では成人身長が平均にはならない!
成人身長が正常化した者でも、身長SDの改善度は平均1SDない!

 
田中敏章(たなか成長クリニック)
低身長児の自然発育――成人身長の改善を規定する因子の検討――
日本成長学会雑誌 16:15-21,2010

 1975年4月より1976年3月までに秋田県で生まれ、6歳時身長SDスコアが-2SD以下であった男子105名、女子131名の17歳時までの自然発育を検討し、17歳時身長SDスコアに影響を与える臨床因子、および17歳までの身長SDスコアの変化に影響を与える臨床因子の検討を行った。症例ごとに縦断的身長データを成長曲線にプロットし、eye fit法にて思春期のスパートの開始年齢を決定して、男子はスパートの開始年齢を、女子はスパート開始年齢より6ヶ月後を臨床的思春期開始時年齢とした。
このようにして決定した思春期開始時の平均年齢・身長は、男子はそれぞれ12.22歳、133.2cm、女子は11.32歳、131.1cmであった。17歳時の平均身長は男女それぞれ160.2cm(-1.98SD)、148.7cm(-1.93SD)で、6歳時よりの身長SDスコアの変化の平均は、男子+0.37SD、女子+0.46SDであった。男子の48.6%、女子の52.8%に17歳時身長の正常化(>-2SD)がみられたが、0SDを越える者はいなかった。
成人身長が正常化(-2SDを超えた)した者でも、その身長SDスコアの改善は、男女それぞれ平均ん0.84SD、0.89SDであった。
 17歳時身長SDスコアに最も相関の強い臨床因子は、男女とも思春期開始時身長で、それ以外の有意な因子は、男子ではピーク成長速度、6歳時身長SDスコアの順で、女子では6歳時身長SDスコア、思春期開始時年齢の順であった。6歳から17歳までの身長SDスコアの変化に相関する因子は、男子においては、ピーク成長速度、思春期開始時身長、思春期開始時年齢、ピーク成長速度時年齢が有意な正の相関を示したのに対し、女子では思春期開始時身長、思春期開始時年齢、ピーク成長速度時年齢が有意な正の相関を示した。
 6歳時低身長児は、17歳時には約50%が正常身長(>-2SD)に達したが、平均身長に達するのは困難である。17歳時身長が高くなるためには、思春期開始時身長が高いことが最も重要な臨床因子であることが示された。
 

低年齢ほど、成長ホルモンの治療効果は高い!

 
田中敏章(たなか成長クリニック、成長科学協会)、他
成長ホルモン分泌不全性低身長症における成長ホルモンによる前思春期の治療開始年齢別治療効果
日本成長学会雑誌 16:23-29,2010

 成長科学協会に1991年より2000年までに登録された成長ホルモン分泌不全性低身長症(GHD)のデータを解析し、わが国における前思春期のGH治療効果について検討した。GH治療時に9歳未満の症例で、3年目までの治療成績は999例、4年目は365例、5年目は89例のデータを用いた。年齢別では、治療開始年齢が低い群が治療効果(累積Δ身長SDスコア、成長速度、Δ身長SDスコア/年)が高く、また重症GHDが、中等症・軽症に比べて治療効果が高かった。
 3~6歳をわが国の前思春期の標準的GH治療開始年齢としてみると、平均4.9歳で前思春期治療開始頻度の多い時期とほぼ一致している。この年齢で治療開始したときの平均的な年間成長速度は1年目約8.5cm、2年目約7cm、3年目約6cmで、3年間に約21.5cm伸びるのが、平均的なGH治療による伸びといえる。Δ身長SDスコアは、1年目で約0.5 SD、2年目は約0.25 SD、3年目は約0.15SD、4年目約0.1 SD、累積Δ身長SDスコアは、1年目で約0.5SD、3年で約0.85SDだった。

学術活動

院長の学術活動をご報告いたします。

小槌
学術活動メニュー