学術活動

top-p7.png top-p4.png top-p6.png top-p5.png top-p2_20220422201251121.png

HOME | 学術活動 | 学術活動23

小槌
学術活動

No.23 「GHD男子におけるGHと蛋白同化ホルモン併用療法の成人身長に対する治療効果」


2018/06/08

Tanaka T, Sato N, Ogasawara A, Noda M, Naiki Y, Horikawa R.The effect of combination treatment of growth hormone and anabolic steroid hormone on adult height in boys with growth hormone deficiency. 日本成長学会雑誌 23:21-30,2017
GHD男子におけるGHと蛋白同化ホルモン併用療法の成人身長に対する治療効果
田中敏章12、佐藤直子12、小笠原敦子13、野田雅弘14、内木康博2、堀川玲子2
 
1.たなか成長クリニッック
2.国立成育医療研究センター
3.茨城県立こども病院
4.公立昭和病院
 

要旨

 
GH治療中のGHDにおいても、思春期発来時の身長が低いと成人低身長になる。
今回GHD男子において、思春期に蛋白同化ホルモン(AH)を併用して成人身長に対する効果を後方視的に検討した。
対象は、GHD男子46名で、うち26名(AH併用群)が、AHのmethenolone acetate(プリモボラン®)の投与を受けた。GH単独群、AH併用群の、思春期開始時の年齢はそれぞれ、13.0歳、11.7歳、身長は137.5cm、132.5cm、とAH併用群が有意に若く、身長が低かった。Growth Potential II法による予測成人身長は161.8cm、159.2cmで、AH併用群は予測成人身長が有意に低かった。AH治療は、13.1±1.2歳から16.6±1.1歳までの平均3.5±1.2年継続した。AHは時期により5mg(2.5mg)から20mgまで増量した。
思春期開始から成人身長までの伸びの平均は、GH単独群25.4cm、AH併用群31.5cmと有意に(共分散分析、p<0.05)併用群が大きかったが、平均成人身長はそれぞれ162.9cm、164.0cmと有意差はなかった。しかし、思春期開始時身長に対する成人身長は、有意差(共分散分析、p<0.01)が認められた。またGH単独群は成人身長が思春期開始時の予測成人身長と有意差がなかったのに対し、AH併用群は1例を除いて予測成人身長を上回っており、その差は平均+4.8cmであった。成人身長が160cm以上になった割合は、GH単独群70%(14/20)に対し、AH併用群は96%(25/26)と1例を除いて160cmに達した。
重篤な副作用は、認められなかった。
AH併用群において、AH投与中の骨年齢の進行は停滞の傾向はあり、AH治療中の思春期の伸びがAH投与期間と有意な相関が認められ、高用量群のほうが投与期間が長く、思春期の伸びが長かった。十分量のAHによる性腺抑制作用による骨年齢の停滞と思春期の期間の延長が、治療効果の要因であることが示唆された。
 

 
図.思春期開始時身長と成人身長
  蛋白同化ホルモン(AH)併用例は、ほぼ全例成長ホルモン単独治療例の思春期開始時身長と成人身長の相関の線より、上にある。(思春期開始時身長に対しての伸びが大きかった)

学術活動

院長の学術活動をご報告いたします。

小槌
学術活動メニュー