学術活動
No.26 当クリニックで行う研究についてのお知らせ
たなか成長クリニックでは、2010年1月から2019年12月までに低身長を主訴に当院を初診で受診された方で、そのうち学問的に低身長だった方を対象に、『成長ホルモン分泌不全性低身長症における男女差の検討』という臨床研究を実施することになりました。低身長の定義は、学問的には「統計的に身長SDスコアが-2SD以下」とされております。SDスコアとは、平均からどれだけ離れているかの指標で、お子さんの身長が、初診時にお渡しした標準成長曲線の身長の-2SDの線より下に記されている場合、低身長の定義に当てはまります。初診の時に、先生からお子さんが低身長の定義に当てはまるかどうかの説明は受けていると思います。一般的には同姓同年齢の子どもが100人集まったときに、身長の低い人から2~3番目の人が定義に当てはまります。
現在成長ホルモン分泌不全性低身長症の発症率は、男子:女子の比が2:1と世界的にも男子が女子の2倍の発症率であると報告されています。しかし、元々低身長の定義は統計的に定められているため男女ほぼ同じ人数であるにもかかわらず、低身長で受診する方は、当院においても男子の方が多いのが現状です。そのために、実際は男女で発症率が同じであるにもかかわらず、成長ホルモン分泌不全性低身長症と診断される患者さんの数が男子に多くなり、それが発症率の差として報告されている可能性があります。
本研究は、多数の低身長の患者さんを検討し、低身長のうち成長ホルモン分泌不全性低身長症と診断された人の割合を男女で比較することによって、実際に男女差があるのかを明らかにする研究です。本研究では、患者さんの性別、在胎週数、出生体重、出生身長、ご両親の身長、受診時の年齢、身長(身長SDスコア)、体重と成長ホルモン分泌刺激試験の有無と、有の場合はその判定のデータを収集します。すべてのデータは匿名化して収集され、お名前、出生年月日、住所などのプライバシーに関する情報は含まれておりません。
データならびに収集した内容は本研究責任者の下で厳重に管理されます。本研究で得られた結果は、医学的な専門学会や専門雑誌等で報告されることがあります。本研究に必要な資金について、製薬企業などからの資金提供は受けておりません。
この研究を実施するにあたり、倫理的妥当性と科学的合理性が日本医師会倫理審査委員会で詳細に検討され、問題のないことが確認されました。
・倫理審査委員会審査終了日:令和2年6月24日
・倫理審査管理番号:R2-2
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