学術活動
No.20 抄録 6歳時低身長 2015
Growth failure starts from early infancy in children with short stature at age 6
Masahiro Noda1,2, Naoko Sato1,3, Toshiaki Tanaka1,
Clinical Pediatric Endocrinology 24:1-10,2015
6歳時低身長児の成長障害は、乳幼児期早期から始まる
1)たなか成長クリニック 2)公立昭和病院 3)国立成育医療研究センター
野田 雅裕1)2) 佐藤 直子1)3) 田中 敏章1)
要旨:
たなか成長クリニックを通院中の、6歳時に身長SD(HtSD)が-2SD以下の低身長児183名を、その後の検査結果などもふまえて、特発性低身長症(ISS)119名、成長ホルモン分泌不全性低身長症(GHD)33名、SGA性低身長症(SGASS)31名にわけ、身長・体重・栄養摂取状況の経時的変化について後方視的に検討し、6歳時正常身長児と比較した。
6歳時正常身長児の出生時から6歳までの身長SDスコアの変化は、出生時正常身長の群は平均-0.24 SD、出生時低身長の群は平均+2.27 SDだった。6歳時低身長児では、その変化は特発性低身長症では-1.93 SD、成長ホルモン分泌不全性低身長症では-2.41 SD、SGA性低身長症では+0.58 SDだった。出生時から6か月目までの身長SDスコアの変化は、特発性低身長症、成長ホルモン分泌不全性低身長症、SGA性低身長症それぞれ-0.84 SD、-1.03 SD、+0.38 SDで、出生時から1歳時までの変化はそれぞれ、-1.07 SD、-1.44 SDだった。特発性低身長症と成長ホルモン分泌不全性低身長症においては、出生時から6か月目での身長SDスコアの低下は、6歳時までの低下の、それぞれ43.5%、42.6%と半分近くであった。
栄養摂取状況に関しては、低身長児群ではミルクの飲みが良好だった割合と悪かった割合はそれぞれ19%、53%だったが、正常身長群ではそれぞれ56%、16%であった。また低身長児群では離乳食の摂取が良好のわりあい不良の割合がそれぞれ22%、56%であったが、正常身長群ではそれぞれ53%、17%であった。
低身長児は正常身長児に比してミルクの飲みが悪く、離乳食摂取不良である割合が高く、体重増加が不良で、6か月までに身長SDスコアが低下しており、6歳時低身長の要因に栄養摂取不良があると考えられた。